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152号 「米中関係とトランプ政権」 滝田賢治 JAIR | JAIR Newsletter Back Issues

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JAIR Newsletter

No.152 July 2017

日本国際政治学会

http://jair.or.jp/

[目次]

巻頭言………1 2017年度研究大会プログラム………4

宇野重昭先生を偲んで………2 海外発信強化報告書………15

事務局からのお知らせ………3 国際学術交流報告書………18

理事会便り………4 編集後記………20

米 中 関 係 と ト ラ ン プ 政 権

滝 田 賢 治

トランプ政権の内外政策は首尾一貫性を欠いたものとなっており、国際関係を

不安定化させる一因となっている。当然、外交・安全保障政策の大戦略の大枠す

ら見えてこない。中国、ロシア、NATO、中東、北朝鮮などへの政策は二転三転

し、不透明なままである。特に対中政策の策定はアメリカの大戦略にとって不可

欠であるにもかかわらず、トランプ政権は明確な対中政策を打ち出しえていない。

かつて2007年5月段階で中国海軍幹部はアメリカの太平洋軍司令官に対してハワ

イを起点に太平洋の東西を米中で分割支配するアイディアを提案し、オバマ政権

成立(2009年1月)前後にはZ・ブレジンスキーやR・ゼーリックが「米中二極

体制」ともいうべき「G2論」を提起していた。2011年1月H・クリントン国務

長官がリバランシング政策を発表して「G2論」を打ち消したはずであった。しか

し2013年6月オバマ大統領と非公式会談を持った就任間もない習近平主席は「G2

論」と同義語ともいうべき「新型大国間関係」という概念を持ち出した。興味深いことは、この議論と符合

するかのようにアメリカではJ・ミヤシャイマーに代表される「台湾放棄論」が浮上してきたことである。

「内向き志向」を強め内外政策に首尾一貫性を欠くアメリカを尻目に国際政治経済の主導権を握ろうとす

る中国に、トランプ政権はどのように対応していくのであろうか。歴代大統領にも見られたことではあるが

就任前の対中姿勢を就任後には軟化させていった。就任前に「一つの中国」原則に縛られないと発言して、

台湾の蔡英文総統と電話会談し、彼女をプレジデントと呼んだトランプは、4 月初旬の習近平との会談後は

対中融和政策に舵を切り蔡総統との2 度目の電話会談を拒否するに至った。北朝鮮の核・ミサイル開発阻止

に中国の協力が不可欠であり、中国が貿易不均衡を解決するための「100 日計画」を受け入れたためである

ことは明らかであるが、大戦略に基づく政策変更とは言えない。マティス国防長官はシャングリラ・ダイア

ローグで中国の南シナ海政策を批判し、『中国軍事力に関する年次報告書2017年度版』(国防総省)が中国の

強圧的な海洋権益拡大を非難したが、形式的な「航行の自由」作戦以外に具体的軍事行動はとっていない。

北朝鮮問題についても「全ての選択肢がテーブルの上にある」と危機を煽ったものの、水面下の米朝交渉の

結果か事態は急速に鎮静化しつつあり、トランプが就任前に言及した米朝交渉の開始の可能性も出てきてい

る。

報告書や演説で対中非難を繰り返しても具体的行動で担保しなければ、結果的に中国は南・東シナ海への

軍事進出を既成事実化し台湾への圧力を強め、第1列島線から第2列島線を突破し、実質的に西太平洋を中

国の勢力圏とする可能性は否定できない。その場合、日米同盟の深化を安保政策の基軸として安保法制に突

(2)

宇野重昭先生を偲んで

宇野重昭先生、島根県立大学学長を辞されて、横浜に落ち着かれてからも、何回かマンションのお宅に伺

いました。こんなに早くお別れがくる、とは思いもかけませんでした。2016年秋にマンションに伺った時は

先生が買ってきて下さった大きな苺をご馳走になりました。恐縮のあまり肝心なお味を味わうことができま

せんでしたが。宇野先生が旅立たれた今、中国について、日本の近未来について、安倍晋三氏について、そ

して中国研究について、教えていただきたいこと、議論を闘わせたいことが沢山ありましたのに、それもか

なわなくなりました。とてもとても残念です。

先生とお会いしたのは今から55年前、1962年1月のころだと思います。4月から勤務する外務省の外郭団

体・日本国際問題研究所に少し早めに勤め始めることになったからです。私は助手として、あの霞が関の片

隅の掘っ建て小屋にあった研究所に通いました。そこで、外務省アジア局中国課にキャリアの外交官として

任官された宇野先生とお会いしました。先生は1961年4月に外務省入省、62年3月に東京大学で学位をと

られています。まさに新進気鋭の研究者・将来のエリートとしてのスタートを切られていたのです。

日本国際問題研究所では山極晃先生、藤井昇三先生が研究員としてこられたばかりでした。外務省として

は、『中国共産党史』大型資料集を作るべく、いろいろな配置を用意していたのでしょう。宇野先生がおられ

る中国課が司令塔だったようです。結局、『中国共産党史資料集』は全 12巻と大部のものとなりました。ま

た、戦後版である『新中国資料集成』全5巻も作りました。党史12巻の出版が完了したのはたしか1975年

のことです。足かけ14年もかかりました。よく外務省が最後までやり切ったなあと思いますが、このスター

トの時点で宇野先生が中心的役割を果たされたのでしょう。なお、このプログラムには、東大の衛藤瀋吉先

生、慶應の石川忠雄先生も顧問役で入って下さいました。宇野先生が成蹊大学に移られてからは、中国課の

事務官としてこられた加藤紘一氏 (後に衆議院議員)がこのプログラムに共鳴されて、予算面で支えて下さ

いました。

私にとって宇野先生はなによりも、研究の指針を示して下さった先生であり、その面で大変な恩義を受け

ました。研究所で資料集を編纂しながら、宇野先生や山極先生などで作って下さった小さな研究会で党史の

勉強、発掘した資料の読み合わせや評価についての議論に参加することができたことです。この研究会は週

に一回ほど、研究所もしくは近くの喫茶店などで行われました。宇野先生の博士論文の中核をなす、『第一次

国共合作をめぐるコミンテルンと中国共産党』という論文を土台に何回か宇野先生から講義を伺いました。

コミンテルンなどというのをほとんど知らなかったものですから、大変驚きました。研究会は(宇野先生の

ご本務との関係なのでしょう)昼食時にもたれました。いつもサンドイッチをいただきながらの研究会でし

た。ですから、コミンテルンとサンドイッチは私のなかでは、いまもピッタリとくっついているのです。と

ても勉強になりました。助手時代の日本国際問題研究所は、私にとっては、言ってみれば、東京大学東洋史

博士課程よりもレベルの高い、内容の濃い大学院でした。宇野先生、山極先生、藤井先生に深く感謝してお

ります。

(成蹊大学での教育・行政のお仕事以外に)毛里がお近くで拝見した宇野先生のご活動について、是非記

録に残しておきたいことがございます。日本国際政治学会のことです。お若いときから先生は日本国際政治

学会の活動にとても熱心でいらっしゃいました。成蹊大学を第一の仕事とすると、第二のお仕事とでも言え

ましょうか。細谷千博先生のもとで初期の学会を懸命に育てておられました。有賀貞先生などとともに、お

そらく日本国際政治学会の第二世代を担われたのではないでしょうか。とくに記憶に残っているのは会計の

お仕事です。なにごとも絶対に手を抜かない宇野先生のご気質がよく表れていました。学者は経理にはとて

も疎いのが普通ですが、先生は、学会財政を健全化しなければ、と自ら複式簿記の学校に通って複式の経理

をマスターされ、みごと学会経理の土台を作られました。先生は 1986 年~88 年に学会理事長を務められま

したが、私は宇野先生の学会に対する熱情に巻き込まれてしまい、90年代に執行部に入り会計を担当し、そ

の後は副理事長を務めました。もちろん複式簿記など全く分からず、学会の総会で1 年に一回経理報告をす

(3)

とを今でも思い出します。

宇野先生が全エネルギーをかけられた第三のお仕事は島根県立大学の創設だったのでしょう。隠岐島の神

官のご出自でいらっしゃる宇野先生としては、ふるさとからの強い要請に答えるのが崇高な義務だったに違

いありません。1997年に同大学の準備委員長に、2000年からご定年の2009年まで学長と理事長を勤められ

ました。合計12年間島根県のために奮闘されたことになります。見事に大勢の若い人材を育て上げ、また日

本での北東アジア学の拠点を作ることに成功なさいました。先生のご尽力によって、島根県立大学では北東

アジア研究センターや総合政策学会などがいま活発に活動しています。二種類の雑誌が生まれ、北東アジア

研究の大きな拠点として立派に育っています。最晩年の先生のお仕事は「北東アジア学」の創生でした。西

欧からの衝撃、後れてきた近代というアジアの宿命ともいうべきものをどうしたら主体的に克服できるのか、

理性(科学)と情念(宗教)の緊張をどのように調和するのか、宇野先生は最後までこれらの難問と格闘さ

れていました(宇野重昭『北東アジア学への道』国際書院、2012年)。

もう一つのお仕事が中国との国際共同研究です。1980年代から熱心に進められ、中国の大学・研究機関と

の間に学術的なネットワークを作られました。中でも、1984年~1994年日中小城鎮研究会を組織され、農村

工業化の日中比較研究を進められました。日中双方の専門家10名ずつでチームを作り、1年一回相手国を訪

問、調査を進めるというプログラムです。日本では成蹊大学と上智大学が交代で研究会を開きました。私も、

そのチームに加えていただき、江南の豊かな農村研究を楽しみました。中国からは費孝通教授(北京大学)、

朱通華教授(江蘇省政府)などが支え、日本側には鶴見和子教授、菊地昌典教授、清成忠男教授、安原茂教

授、湯山トミ子教授、そして一村一品運動のリーダー平松守彦大分県知事も加わっていらしたと思います。

宇野先生がタクトを振られ、ずいぶん充実した、活性のある研究チームでした。このチームで伺った宇野先

生と鶴見和子先生の「内発的発展論」には多くを教えられました。鶴見先生は、内発的発展論を「目標にお

いて人類共通であり、目標達成への経路と創出すべき社会のモデルについては、多様性に富む社会変化の過

程である」と定義されました(東京大学出版会、1989年)。費孝通先生のふるさと呉江でも調査をしました。

このプログラムは、80 年代半ばから 90 年代半ばまで、中国がもっとも穏やかで、リベラルで、前向きだっ

た10年間続きました。

このあとも宇野先生は北京大学と「中国模式」論に関する共同研究を組織されました。2012年には北京大

学で大規模な国際シンポジウムを開き、その貴重な記録が出版されています。

国際政治史、国際関係論、中国の地域研究、北東アジア学……。宇野先生は、戦後日本のアジア研究の最

先端をずっと走ってこられました。日本だけでなく、国際的に大勢の若い研究者の養成に貢献なさいました。

2010年、最愛の奥様を突然亡くされ、その時の衝撃が先生を直撃したに違いありません。いつの場合も奥様

の話をまずなさる、日本の男性としてはまれに見る「愛妻家」でいらっしゃいましたから。いま、天国の奥

様のところに召され、お二人で来し方をゆっくりお話しなさっていることでしょう。長い間、ありがとうご

ざいました。安らかにお休み下さいますように。 (毛里和子)

事務局からのお知らせ

1. 今年度採用予定のWeb上での会員情報管理システム(e-naf)については、10月に運用を開始する予定で

す。9月後半以降、e-nafの利用に関わるIDやパスワードを送付する予定にしておりますので、今しばら

くお待ち下さい。

2. 科学研究費助成事業(国際情報発信強化)の平成28年度実施の中間評価はA-でした。また、4月1日

に は 今 年 度 の 交 付 内 定 の 連 絡 が あ り 、 引 き 続 き 本 学 会 の 英 文 機 関 誌 International Relations of the

Asia-PacificIRAP)の海外発信強化を目指してまいります。

3. 5月19日に監査会議を実施し、2016年度の事業報告書等および決算関係書類について適正であることが

(4)

4. 6月3日に開催された理事会において、計33名の入会申し込みが承認されました。入会を承認された方

におかれましては、初年度会費を速やかに納入くださいますよう、お願いいたします。

5. 去る4月1日に逝去された元理事長の宇野重昭先生を偲ぶ会が6月11日成蹊大学で執り行われ、本学会

からは供花に加え、執行部、並びに理事や評議員からも多くの関係者の参列を頂きました。

2016-2018年期理事長 石田 淳

2016-2018年期事務局主任 遠藤 貢

理事会便り

国際交流委員会からのお知らせ

1. 2017年度国際学術交流助成

2017年度国際学術交流助成への申請を公募しております。

申請資格・助成対象・申請方法の詳細や申請上の注意・申請用紙は学会ホームページの以下のページ

やリンクからご参照、ご利用ください。

http://jair.or.jp/committee/kokusaikoryu/2857.html

第1回募集の締切が6月29日(木)、第2回募集の締切が11月30日(木)でいずれも一橋大学事務

所必着となっております。

積極的なご応募をお待ちしております。

2. 5月12・13日、日中韓フォーラム(ソウル・漢陽大学)のご報告

韓国国際政治学会(KAIS)と韓国国際交流財団の共同主催により、上記日程・場所にて「トランプ時

代の韓中日葛藤克服と新協力時代構想:専門家と次世代リーダーの会合」と題する日中韓フォーラムが

開かれました。

2日目の次世代リーダーズフォーラムにて、KAISから当学会への依頼で募集・採択させていただいた

ポスドク・大学院生の会員・入会予定者8名が、3セッションに分かれて、韓国・中国からの同世代の

方々とともに報告・討論をされました。参加・報告者は、熊倉潤会員、秋山肇会員、張暮輝氏、木村英

里菜氏、髙橋優子氏、内山雅之氏、佐藤雪絵氏、中舛僚氏です。詳細は学会ホームページをご覧くださ

い。各セッションの内容報告は次号ニューズレターに掲載の予定です。周知にご協力いただいた会員の

皆様、積極的にご応募くださった皆様に心から御礼申し上げます。

国際交流委員会主任 都丸潤子

広報委員会からのお知らせ

学会 HP では、会員の皆様からのシンポジウム等のお知らせや新刊紹介などを随時掲載しております。情

報交換・共有の場としてご活用ください。掲載を希望される場合は、HP右側のメインメニューの「お知らせ

投稿フォーム」をご利用のうえ、ご投稿ください。統一的な記録を残していく必要があるので、お手数です

が、上記の「お知らせ投稿フォーム」への記載をお願いいたします。パスワードにつきましては、紙媒体ニ

ューズレター146号に掲載されていますが、今後は、会費納入用紙、『国際政治』等、各種の郵便物とともに

お知らせします。

その他、ニューズレターやHPに関してお問い合わせ等がありましたら、広報委員会(jair-pr☆jair.or.jp)に

ご連絡ください。(☆を@に代えてください)

広報委員会主任 山田敦

2017

年度研究大会プログラム

(5)

共通論題

1028日(土)(15:3018:20

「デモクラシーと世界秩序」(パネル・ディスカッション)

司会 岩間 陽子(政策研究大学院大学)

パネリスト 遠藤 乾(北海道大学)

川島 真(東京大学)

吉川 元(広島市立大学)

武内 進一(日本貿易振興機構アジア経済研究所)

西崎 文子(東京大学)

部会プログラム

1027日(金)(13:0015:30

部会1 「東アジアの安全保障と金融にかかわる対立と協調の制度分析」

司会 飯田 敬輔(東京大学)

報告 栗崎 周平(早稲田大学)

「日米同盟における集団的自衛権のシグナリング・ゲーム」("Signaling Game of Collective Self-Defense in the U.S.-Japan Alliance")

小浜 祥子(北海道大学)

「 国 際 紛 争 初 段 階 に お け る 情 報 共 有 ― 日 本 と 中 国 は ど の よ う に 対 話 を す る の か 」

("Information Sharing in Early Stage International Disputes: How China and Japan Communicate")

鈴木 基史(京都大学)

「国際融資競争とアジア金融システム」("International Developmental Loan Competition and the Divided Asian Financial System")

討論 石田 淳(東京大学)

河野 勝(早稲田大学)

部会2 「オバマ外交の8年をふりかえる――関係諸国の視点から」

司会 佐藤 丙午(拓殖大学)

報告 小谷 哲男(日本国際問題研究所)

「『対等な同盟』から『希望の同盟』へ:オバマ政権のリバランスと日米同盟」(仮)

兵頭 慎治(防衛研究所)

「米露関係からみたオバマ外交の8年――ロシアの視点から」(仮)

神保 謙(慶應義塾大学)

「米・ASEAN関係の展開――リバランス政策の地域的受容」(仮)

討論 森 聡(法政大学)

福田 円(法政大学)

部会3 「東アジアにおけるASEANの中心性――理論と歴史」

司会 菊池 努(青山学院大学)

報告 黒田 友哉(帝京大学)

「1970年代のASEAN/EC関係――ASEAN中心性との関連で」(仮)

保城 広至(東京大学)

「第二回ASEAN首脳会議と福田ドクトリンの形成」(仮)

大庭 三枝(東京理科大学)

「ASEANが直面する危機――その本質と展望」(仮)

討論 田中 明彦(政策研究大学院大学)

庄司 智孝(防衛研究所)

部会4 「グローバル化する私的空間――国際政治学の挑戦」

司会・討論 石井 由香(静岡県立大学)

報告 清水 耕介(龍谷大学)

(6)

辻上 奈美江(東京大学)

「サウジアラビアにおける親密圏のグローバル化と雇用主女性による権力交渉」(仮)

小川 玲子(千葉大学)

「東アジアのケアのグローバル化と親密圏の変容(仮)」

討論 前田 幸男(創価大学)

部会5 「国家主権の変容とグローバル・ガバナンス」(自由論題部会)

司会 増島 建(神戸大学)

報告 榎本 珠良(明治大学)

「非国家主体(NSAs)への武器移転問題と国家主権」

大森 佐和(国際基督教大学)

「日本がIMFや世界銀行プログラムを通じて金融改革に与える影響の米国との比較検討」

尾和 潤美(中京大学)

「グローバル・ガバナンスの変容とOECD」

討論 市原 麻衣子(一橋大学)

和田 洋典(青山学院大学)

1028日(土)(9:3012:00

部会6 「歴史の記憶と国際関係――東アジアを中心に」【日韓合同部会】(国際交流委員会)

(日本語で実施)

司会 KAIS会長・佐々木 卓也(日本国際政治学会副理事長・立教大学)

報告 江藤 名保子(アジア経済研究所)

「歴史認識と日中関係」

南 基正(ソウル大学校日本研究所)

「平和問題としての日韓関係」

朴 栄濬(国防大学校)

「日本の歴史談話と外交政策」

討論 高島 亜紗子(東京理科大学)

部会7 「国際政治理論からみる東アジアの安全保障」

司会 土山 實男(青山学院大学)

報告 佐桑 健太郎(ヴァルパライゾ大学政治国際関係学部)

「民主主義は平和をもたらすのか――国際平和と政治体制の共進化モデル」

泉川 泰博(中央大学)

「バランシング/バンドワゴニング理論の陥穽と冷戦時東アジア同盟」

松岡 美里(東海大学)

「日本の『価値外交』の展開」

討論 多湖 淳(神戸大学)

益尾 知佐子(九州大学)

部会8 「冷戦史研究の多角的展開――文化・社会・人権」

司会・討論 菅 英輝(京都外国語大学)

報告 齋藤 嘉臣(京都大学)

「ジャズ外交の時代:アメリカを超える音楽の政治学」

伊豆田 俊輔(獨協大学)

「東ドイツにおける社会主義リアリズムと冷戦」

小阪 裕城(長野県短期大学)

「国際秩序と人権:冷戦初期のアメリカと国際人権レジームを事例として」

討論 井関 正久(中央大学)

部会9 「『国際政治学』は終わったのか?」

司会 西村 邦行(北海道教育大学)

報告 芝崎 厚士(駒澤大学)

「ディシプリンの国際文化交渉:日本の国際関係研究とIRの関係史序説」

(7)

「自己実現的予言としての国際関係学――自閉する公理の権力」

五十嵐 元道(関西大学)

「ポスト実証主義アプローチの『発展』」

討論 宮下 雄一郎(松山大学)

部会10 「歴史としての冷戦後――冷戦終結直後から現在を展望する」

司会 納家 政嗣(上智大学)

報告 村田 晃嗣(同志社大学)

「レーガンの長い影」

池本 大輔(明治学院大学)

「EU・国際経済秩序・社会モデル――通貨統合の夢と現実」

青山 瑠妙(早稲田大学)

「中国と冷戦後の国際秩序――『パートナーシップ』と『公共財』の視点から」

討論 田所 昌幸(慶応義塾大学)

相沢 伸広(九州大学)

1029日(日)(14:0016:30

部会11 「『帰属の政治』の現状と展開――理論と実証研究の対話を通じて」

司会 土佐 弘之(神戸大学)

報告 大岡 栄美(関西学院大学)

「カナダにおける多文化社会と帰属をめぐる挑戦:P.トルドーからJ.トルドーへのバトン」

日下 渉(名古屋大学)

「道徳で救われるのか、棄てられるのか?――フィリピンの貧困対策と麻薬撲滅戦争」

浪岡 新太郎(明治学院大学)

「フランスにおける帰属の政治――ムスリムマイノリティと国家安全保障」

討論 山崎 望(駒澤大学)

川村 陶子(成蹊大学)

部会12 「せめぎあう国際秩序観――1930年代と現在の比較から」

司会 戸澤 英典(東北大学)

報告 北村 厚(神戸学院大学)

「1930年代中欧をめぐる独伊の角逐」

馬路 智仁(早稲田大学)

「『大ブリテン』の長い影――アングロ圏(Anglosphere)構想、1930年代と現代」

武田 知己(大東文化大学)

「1930年代日本の新秩序構想の展開・挫折とその現代的示唆」

討論 三牧 聖子(高崎経済大学)

大島 美穂(津田塾大学)

部会 13 「日本の国際関係論の再検討――『外圧反応型国家』としての日本外交をめぐる研究の位相」

(タスクフォース企画)

司会・討論 大芝 亮(青山学院大学)

報告 古城 佳子(東京大学)

「(対外経済問題に関して)」

添谷 芳秀(慶應義塾大学)

「(安全保障問題に関して)」

波多野 澄雄(アジア歴史資料センター)

「(日本外交史の観点から)」

討論 宮下 明聡(東京国際大学)

部会14 「ユーラシアのエネルギー安全保障」【市民講座】

司会 宮脇 昇(立命館大学)

報告 平川 幸子(早稲田大学)

「中国のエネルギー戦略と地域主義外交」

(8)

「中央アジアのエネルギー安全保障と対中関係」

稲垣 文昭(秋田大学)

「旧ソ連諸国の電力インフラ再編と安全保障上の課題」

討論 宇山 智彦(北海道大学)

伊藤 庄一(日本エネルギー経済研究所)

部会15 「ユーラシア・中央アジアの外交と秩序」(自由論題部会)

司会 中溝 和弥(京都大学)

報告 青木 健太(お茶の水女子大学)

「世界秩序の変容とアフガニスタンの統治」

熊倉 潤(日本学術振興会・台湾政治大学)

「中国のカザフスタン外交と新疆少数民族問題」

三宅 康之(関西大学)

「独立期インドと中華人民共和国の国交樹立過程の解明」

討論 星野 昌裕(南山大学)

岡田 晃枝(東京大学)

分科会プログラム

1027日(金)

分科会セッションA15:4517:15

A-1 東アジアI 責任者 飯田 将史(防衛研究所)

テーマ 地域秩序をめぐる東アジアの国際関係

司会 飯田 将史(防衛研究所)

報告 益尾 知佐子(九州大学)

「中国の21世紀海洋シルクロード構想と東アジア」

湯澤 武(法政大学)

「南シナ海のルール形成をめぐる国際政治―規範とパワーの相克」

ロート・アントワン・アルミン(東京大学)

「東アジアにおける規範的影響力をめぐる日中ステータス競争」

討論 庄司 智孝(防衛研究所)

A-2 東南アジア 責任者 板谷 大世(広島市立大学)

テーマ 東南アジアにおける戦後和解と文化協力

司会 板谷 大世(広島市立大学)

報告 渡辺 洋介(大阪経済法科大学)

「マレー半島における戦後和解~草の根交流を中心に~」

井原 伸浩(名古屋大学)

「ASEAN文化基金の設立過程」

討論 永井 均(広島市立大学)

高埜 健(熊本県立大学)

A-3 理論と方法Ⅰ 責任者 鈴木 一敏(広島大学)

テーマ 政治の数量化と分析

司会 鈴木 一敏(広島大学)

報告 大村 啓喬(滋賀大学)

「日本における旗の下の集結効果:誰が政府を支持しているのか?」

河合 将志(大阪大学)

「機械学習による大統領令の計量――対外政策にもとづく党派性は存在するのか」

討論 籠谷 公司(大阪経済大学)

A-4 トランスナショナルⅠ 責任者 岡部 みどり(上智大学)

テーマ トランスナショナルな諸問題

司会 岡部 みどり(上智大学)

(9)

「欧州エネルギー同盟の政治過程―2014年を中心として―」

望月 康恵(関西学院大学)

「欧州移民危機に対する国連の取組み―人権あるいは安全保障の問題か」

荻野 晃(長崎県立大学)

「オルバーン政権とEU―ハンガリーのエネルギー政策と欧州難民危機を中心に」

討論 臼井 陽一郎(新潟国際情報大学)

A-5 国連研究Ⅰ 責任者 本多 美樹(法政大学)

テーマ 国際的なレジームとガバナンス形成をめぐる国連の役割

司会 本多 美樹(法政大学)

報告 真嶋 麻子(日本大学)

「民主的ガバナンス概念の成立にみる国連開発計画(UNDP)の政策形成」

佐藤 滋之(早稲田大学)

「『ニューヨーク宣言』に見る国際難民保護レジームの現在地と展望」

討論 大平 剛(北九州市立大学)

上野 友也(岐阜大学)

A-6 平和研究Ⅰ 責任者 佐藤 史郎(大阪国際大学)

テーマ 自由論題

司会 佐藤 史郎(大阪国際大学)

報告 大嶋 えり子(早稲田大学)

「植民地支配と独立戦争を記憶する―南仏都市におけるアルジェリアの引揚者の活動」

清水 奈名子(宇都宮大学)

「3.11原発震災後の人間の安全保障―不可視化される被害とグローバルな問題構造の分析」

討論 藤井 篤(香川大学)

蓮井 誠一郎(茨城大学)

A-7 若手研究者・院生研究会 責任者 赤川 尚平(慶應義塾大学)

テーマ 自由論題

司会 赤川 尚平(慶應義塾大学)

報告 伊藤 頌文(慶應義塾大学)

「リビア政変を巡るイギリス外交――英軍基地撤収問題を中心に、1969-70年」

志田 淳二郎(中央大学)

「冷戦終結期の欧州とアメリカ外交:欧州新秩序をめぐる『慎重な現実主義』」

討論 篠崎 正郎(防衛省統合幕僚監部)

吉留 公太(神奈川大学)

分科会セッションB17:3019:30

B-1 日本外交史Ⅰ 責任者 熊本 史雄(駒澤大学)

テーマ 公文書に基づく日ソ戦争(1945年)の再検討

司会 麻田 雅文(岩手大学)

報告 花田 智之(防衛研究所)

「ソ連の対日参戦における国家防衛委員会の役割」

加藤 聖文(人間文化研究機構国文学研究資料館)

「ソ連軍の満洲進攻と関東軍の解体」

小林 昭菜(法政大学)

「『シベリア抑留』の発生―関東軍兵士のソ連移送と配置」

討論 麻田 雅文(岩手大学)

B-2 東アジア国際政治史 責任者 阿南 友亮(東北大学)

テーマ 新中国の国家統合をめぐる国際関係

司会 阿南 友亮(東北大学)

報告 福田 円(法政大学)

「中国とカナダの国交正常化交渉―西側諸国との関係改善と『一つの中国』」

(10)

「新疆における中国共産党の国家建設:1940-50年代の軍事的側面を中心に」

討論 星野 昌裕(南山大学)

阿南 友亮(東北大学)

B-3 理論と方法Ⅱ 責任者 鈴木 一敏(広島大学)

テーマ 国際政治理論の発展

司会 鈴木 一敏(広島大学)

報告 張 雲(新潟大学)

「地域研究と政治学との対話――アメリカと中国のケースを中心に」

田中 マリア(早稲田大学)

「批判的・科学的実在論からみる国際秩序の形態生成――シルクロード経済ベルト(SREB)

とアジアインフラ投資銀行(AIIB)の変革的インパクトを事例として」

伊藤 隆太(慶應義塾大学)

「国際政治研究への進化政治学の適用――そのリアリスト理論への貢献を例として」

討論 瀬島 誠(大阪国際大学)

保城 広至(東京大学)

B-4 安全保障Ⅰ 責任者 千々和 泰明(防衛研究所)

テーマ 日米同盟の東南アジアにおける非伝統的安全保障面での役割

司会 千々和 泰明(防衛研究所)

報告 信田 智人(国際大学)

「ミンダナオ紛争解決と日米両国の取組」

山口 昇(国際大学)

「東南アジアでの国際的災害救援活動における民軍連携と日米同盟」

伊藤 剛(明治大学)

「ミャンマーの民主化と日米関係」

熊谷 奈緒子(国際大学)

「『人間の安全保障』、『人権』としての人身取引対策:タイ人身取引問題対策への日米の相

互補完的支援―被害者保護と加害者処罰」

討論 福島 安紀子(青山学院大学)

本名 純(立命館大学)

B-5 国際政治経済Ⅰ 責任者 岡本 次郎(下関市立大学)

テーマ FTA・投資協定をめぐる新しい視角

司会 岡本 次郎(下関市立大学)

報告 西村 もも子(東京大学)

「投資協定の締結と米国の国内政治」

柳 蕙琳(京都大学)

「FTA政策での制度変化と制度の内生性:日韓の制度構造における比較分析」

須田 祐子(東京外国語大学)

「FTA/EPAとデータプライバシー」

討論 山田 敦(一橋大学)

小川 裕子(東海大学)

B-6 トランスナショナルⅡ 責任者 岡部みどり

テーマ 独立論題

司会 岡部 みどり (上智大学)

報告 下谷内 奈緒(日本学術振興会特別研究員)

「国際刑事裁判と法の支配-強制力と正統性をめぐる政治学的分析」

小林 綾子(ハーバード大学)

「内戦における人道アクセス問題の比較分析」

牧野 久美子(日本貿易振興機構アジア経済研究所)

「反アパルトヘイト国際連帯と日本の市民運動」

手塚 沙織(同志社大学)

「米国の移民政策におけるIT産業集積地域シリコンバレーの政治勢力」

(11)

明石 純一(筑波大学)

B-7 環境 責任者 毛利 勝彦(国際基督教大学)

テーマ 環境外交の理論と実際

司会 毛利 勝彦(国際基督教大学)

報告 岡本 哲明(東京大学)、石井 敦(東北大学)、宮後 裕充(東北大学)

「論文引用ネットワーク分析による認識共同体の実証―臨界負荷量を事例として―」

阪口 功(学習院大学)、真田 康弘(早稲田大学)、毛利 勝彦(国際基督教大学)

「グリーンイシューにおける日本の環境外交の展開―ラムサール・CITES・森林・CBD―」

太田 宏(早稲田大学)、亀山 康子(国立環境研究所)、宮崎 麻美(熊本学園大学)

「ブラウンイシューにおける日本の環境外交の展開―オゾン・気候・BRS・水俣条約―」

討論 高橋 若菜(宇都宮大学)

1028日(土)

分科会セッションC13:3015:10

C-1 日本外交史Ⅱ 責任者 熊本 史雄(駒澤大学)

テーマ 国際秩序の模索と日本外交

司会 熊本 史雄(駒澤大学)

報告 醍醐 龍馬(大阪大学)

「明治初期日露関係の形成―樺太千島交換条約とその時代―」

矢嶋 光(名城大学)

「外務省『連盟派』とその政策」

討論 中谷 直司(三重大学)

小宮 一夫(駒澤大学)

C-2 東アジアII 責任者 飯田 将史(防衛研究所)

テーマ 朝鮮半島をめぐる諸問題

司会 飯田 将史(防衛研究所)

報告 PARK Seohee Ashley(立命館アジア太平洋大学)

「北朝鮮による日本人拉致問題に対する日本国内政治及び外交政策」

崔 正勲(立命館大学)

「金正恩政権における核兵器高度化と対外政策の特徴」 Yang Xiangfeng(Yonsei University)

「The Charm Offensive That Failed to Disarm」

討論 平岩 俊司(南山大学)調整中

C-3 アフリカ 責任者 加茂 省三(名城大学)

テーマ 地域と紛争の力学

司会 加茂 省三(名城大学)

報告 鶴田 綾(中京大学)

「ルワンダ・旧英領東アフリカ関係―独立前後と現在の比較―」

古澤 嘉朗(広島市立大学)

「移行期・紛争社会における法の多元性について:ケニアとシエラレオネの事例より」

大石 晃史(国立情報学研究所)

「コンゴ民主共和国における武装勢力の離合集散」

討論 戸田 真紀子(京都女子大学)

C-4 国際統合Ⅰ 責任者 臼井 陽一郎(新潟国際情報大学)

テーマ EU政治の諸相

司会 小山 晶子(東海大学)

報告 武田 健(東海大学)

「外交戦術としての国民投票―EUにおける諸事例の考察」

南波 慧(一橋大学)

「英仏国境における難民危機―『ジャングル』解体をめぐる<欧州>の可視性と不可視性」

(12)

小山 晶子(東海大学)

C-5 安全保障Ⅱ 責任者 千々和 泰明(防衛研究所)

テーマ 複合的危機への対応をめぐるアクター間協力―南スーダンを事例に

司会 千々和 泰明(防衛研究所)

報告 井上 実佳(東洋学園大学)

「南スーダン危機対応と国連の統合アプローチ」

川口 智恵(JICA研究所)

「90年代の南部スーダン危機対応における包括的アプローチの形成:アメリカとEUを事例

に」

田中(坂部) 有佳子(青山学院大学)

「2005 年包括和平合意以降の対南スーダン支援における包括的アプローチの実現:英国と

EUを事例として」

山本 慎一(香川大学)

「南スーダンの複合的危機における法制度的枠組みの考察:国際レベルと日本の比較を通じ

て」

討論 久保田 徳仁(防衛大学校)

C-6 国連研究Ⅱ 責任者 本多 美樹(法政大学)

テーマ 国連による地域安定化への努力と課題

司会 本多 美樹(法政大学)

報告 藤巻 裕之(東海大学)

「旧ソ連圏における地域主義の研究―SCOにおける脅威の共有―」

趙 一中(九州大学)

「中国の対北朝鮮安保理政策:決議第2321号採択過程の『法的拘束力』を中心に」

討論 宮脇 昇(立命館大学)

吉村 祥子(関西学院大学)

C-7 平和研究Ⅲ 責任者 佐藤 史郎(大阪国際大学)

テーマ 核軍縮・核不拡散に向けた非軍事的手段の模索:朝鮮半島非核化を事例として

司会 佐藤 史郎(大阪国際大学)

報告 一政 祐行(防衛研究所)

「核兵器開発に対する経済制裁の効用とその限界」

渡邊 武(防衛研究所)

「規範充足による北朝鮮の核開発への対応」

討論 倉田 秀也(防衛大学校)

佐藤 史郎(大阪国際大学)

1029日(日)

分科会セッションD9:3011:00

D-1 欧州国際政治史・欧州研究Ⅰ 責任者 広瀬 佳一(防衛大学校)

テーマ 欧州における安全保障システムの起源と現状

司会 広瀬 佳一(防衛大学校)

報告 西田 竜也(広島市立大学)

「WUDO、EDC、WEUそしてNATO―冷戦初期の同盟形成について―」

小林 正英(尚美学園大学)

「EU-NATO関係の現在―ソマリア沖海賊対策作戦の事例を中心に―」

討論 合六 強(二松学舎大学)

岩間 陽子(政策研究大学院大学)

D-2 アメリカ政治外交 責任者 倉科 一希(広島市立大学)

テーマ 冷戦期アメリカ外交の諸相

司会 倉科 一希(広島市立大学)

報告 高津 智子(九州大学)

(13)

加藤 智裕(一橋大学)

「ケネディ政権期の南アジア政策」

吉本 秀子(山口県立大学)

「アイゼンハワー政権期における対沖縄情報政策の変容」

討論 土屋 由香(京都大学)

渡邊 啓貴(東京外国語大学)

D-3 ロシア東欧 責任者 小森 宏美(早稲田大学)

テーマ 1930年代の東欧・ソ連

司会 小森 宏美(早稲田大学)

報告 重松 尚(東京大学)

「リトアニア人行動主義連合(LAS)の国家観」

立石 洋子(成蹊大学)

「ソ連の国家建設と自国史像」

討論 石田 信一(跡見学園女子大学)

中田 瑞穂(明治学院大学)

D-4 中東 責任者 吉川 卓郎(立命館アジア太平洋大学)

テーマ 中東諸国の政策決定過程における国内・国外要因

司会 吉川 卓郎(立命館アジア太平洋大学)

報告 浜中 新吾(龍谷大学)

「イスラエルにおける旗下集結効果の持続:世論調査実験によるアプローチ」

三田 香織(在米クウェイト領事館)

「クウェイト 原油価格低下による政治的影響とその限界」

討論 江崎 智絵(防衛大学校)

石黒 大岳(アジア経済研究所)

D-5 ラテンアメリカ分科会 責任者 ロメロ イサミ(帯広畜産大学)

テーマ ラテンアメリカの国内政治:大統領制と中絶政策を中心に

司会 舛方 周一郎(神田外語大学)

報告 新川 匠郎(上智大学)

「ラテンアメリカの大統領制下における大連立:ブラジルの事例分析を通じて」

笛田 千容(政策研究大学院大学)

「ラテンアメリカにおける人工妊娠中絶の違法化と合法化―中絶政策の比較研究に向けて」

討論 宮地 隆廣(東京大学)

D-6 国際政治経済Ⅱ 責任者 岡本 次郎(下関市立大学)

テーマ 新たな対外経済政策分野における日本の政策過程

司会 岡本 次郎(下関市立大学)

報告 横田 匡紀(東京理科大学)

「グローバルな規制受容をめぐる企業アクターの活動:遺伝資源の事例」

礪波 亜希(筑波大学)

「Foreign Policy of a Modern Developmental State: Japan and Its Economic Diplomacy towards the Arctic」

討論 大矢根 聡(同志社大学)

D-7 政策決定 責任者 吉崎 知典(防衛研究所)

テーマ アメリカの対外関与

司会 吉崎 知典(防衛研究所)

報告 西住 祐亮(中央大学)

「アメリカのウクライナ政策に関する一考 : 連邦議会・大統領関係の新しい展開に注目し

て」

辛 女林(一橋大学)

「在日米軍政策におけるアクター間の合意過程」

討論 信田 智人(国際大学)

(14)

D-8 平和研究Ⅲ 責任者 佐藤 史郎(大阪国際大学)

テーマ 科学技術と安全保障の相克

司会 佐藤 史郎(大阪国際大学)

報告 齊藤 孝祐(横浜国立大学)

「科学技術と安全保障をめぐる戦後日本の政治論争」

松村 博行(岡山理科大学)

「防衛研究開発におけるオープンイノベーションの実現―その意義と課題」

討論 村山 裕三(同志社大学)

櫻井 公人(立教大学)

分科会セッションE(11:1512:45

E-1 日本外交史Ⅲ 責任者 熊本 史雄(駒澤大学)

テーマ 戦後国際社会の変動と日本外交

司会 熊本 史雄(駒澤大学)

報告 楠 綾子(国際日本文化研究センター)

「防衛分担金をめぐる日米関係」

長谷川 貴志(国立公文書館)

「日華断交における自民党親台湾派の構図」

討論 高橋 和宏(防衛大学校)

E-2 欧州国際政治史・欧州研究Ⅱ 責任者 広瀬 佳一(防衛大学校)

テーマ 戦間期国際秩序の再編

司会 君塚 直隆(関東学院大学)

報告 藤山 一樹(慶応義塾大学)

「パリ不戦条約の成立とイギリス外交」

帶谷 俊輔(国立公文書館)

「『強制的連盟』と『協議的連盟』の狭間で――国際連盟改革論の位相」

討論 等松 春夫(防衛大学校)

五十嵐 元道(関西大学)

E-3 国際統合Ⅱ 責任者 臼井 陽一郎(新潟国際情報大学)

テーマ EU統合の諸相

司会 河越 真帆(神田外語大学)

報告 植村 充(東京大学)

「欧州化再検討―「政体」、「政策」、「政治」の3次元におけるEUの構成国に対する影響」

津田 久美子(北海道大学)

「トービン税からEU金融取引税へ―国際『課税』統合の試みと欧州統合」

討論 河越 真帆(神田外語大学)

神江 沙蘭(関西大学)

E-4 安全保障Ⅲ 責任者 千々和 泰明(防衛研究所)

テーマ 現代安全保障課題の諸相―軍事戦略・核不拡散・対テロ

司会 千々和 泰明(防衛研究所)

報告 下平 拓哉(防衛研究所)

「インド・アジア・太平洋地域における米海軍戦略の変化―作戦的視点から」

榎本 浩司(一橋大学)

「消極的安全保障と核のタブー」

池内 恵(東京大学)

「国際テロリズムの構成主義的な解釈と対処法」

討論 小谷 哲男(日本国際問題研究所)

宮坂 直史(防衛大学校)

E-5 国際交流 責任者 飯森 明子(常磐大学)

(15)

司会 飯森 明子(常磐大学)

報告 山内 晴子(朝河貫一研究会)

「朝河貫一の『民主主義』:天皇制民主主義の学問的起源」

秋元 美紀(元東京国際大学)

「戦後日本の対中東文化交流活動―KBS・国際交流基金の事業を中心に」

討論 酒井 一臣(九州産業大学)

小川 忠(跡見学園女子大学)

E-6 平和研究Ⅳ 責任者 佐藤 史郎(大阪国際大学)

テーマ <書評会>『シリーズ 日本の安全保障 全 8 巻』(岩波書店)から日本の平和と安全保障を

考える

司会 佐藤 史郎(大阪国際大学)

報告 遠藤 誠治(成蹊大学)

遠藤 乾(北海道大学)打診中

討論 佐々木 寛(新潟国際情報大学)

川名 晋史(東京工業大学)

E-7 ジェンダー 責任者 森田 豊子(鹿児島大学)

テーマ 国際関係のなかの女性の就業とジェンダー

司会 森田 豊子(鹿児島大学)

報告 堀 芳枝(獨協大学)

「フィリピンで成長するサービス産業とジェンダー:コールセンターの分析を中心に」

藤屋 リカ(慶應義塾大学)

「パレスチナ自治区での女性の就業と特殊合計出生率」

討論 田村 慶子(北九州市立大学)

森田 豊子(鹿児島大学)

海外発信強化報告書

報告書 「スペイン零年―スペイン内戦80年―

シンポジウム」に参加して

等松春夫(防衛大学校)

テルアビブ大学の研究所で

は1936年のスペイン内戦

勃発から80年たった201

6年に内戦研究の国際シンポ

ジウムを計画し、2017年1

月16・17日の両日、各国か

ら専門家を招聘して研究発表

と討論を行った。シンポジウム

の開会には駐イスラエル・スペイン大使も臨席し、

その後ホスト国のイスラエルの研究者のほか、スペ

イン、イタリア、中南米の国際政治史、各国史、比

較政治学、社会学の研究者が最新の研究成果を披露

した。小職は、①日本におけるスペイン内戦研究の

現状の紹介、②内戦時の日本の内戦の観察と評価、

③スペイン内戦が1930年代後半の日本の対外政

策に与えた影響について発表を行った。これらの研

究発表とシンポジウムでの論議をまとめた研究論集

が2018年度中にサセックス大学出版局より刊行

される計画である。

小職の発表要約は以下の通りである。

日本で軍部によるクーデター(226事件)が失

敗に終わった1936年、スペインでは植民地モロ

ッコで蜂起した軍隊の反乱がスペイン本土に飛び火

して瞬く間に広がり、4年にわたる共和派とフラン

コ派の血みどろの内戦が開始された。日本は当初よ

りこの内戦に大きな関心を払い、外務省、メディア、

日本陸軍が熱心に情報収集に努めた。中でも193

6年10月から12月にかけてフランコ派の側にあ

って現地の軍事情勢をつぶさに観察した西浦進大尉

(後の大佐)の活動は際立っている。戦場でフラン

コ派が共和派から鹵獲したソ連製兵器の調査、フラ

ンコ派を支援するドイツとイタリアの派遣軍の実力

の評価、内戦下のスペインの市民生活の様相、英仏

や国際連盟の内戦に対する姿勢の探査など、帰国後

の西浦の報告書の項目は多岐にわたった。

スペイン内戦のさ中にコミンテルンの封じ込めを

目的に結ばれた日独防共協定に、やがて内戦で勝利

を収めたフランコ政権も加盟する。王党派・ファラ

ンヘ党からカトリック教会まで多様な保守勢力を糾

合したフランコ体制と、日中戦争の進行にともなっ

て成立した日本の大政翼賛会は奇しくも多くの共通

点を持つこととなっていった。

本報告は論文化して、他のシンポジウム発表に基

(16)

予定である。刊行に際しては、本論文には「日本国

際政治学会の研究助成をいただいた」旨の一文を付

す。

Raanan Rein & Joan Maria Thomas eds., Spain 1936:

Year Zero (East Bourne: Sussex Academic Press, due

2018 or 2019)

ボルティモアISA年次大会における成果報告書

宇治梓紗(京都大学)

この度、日本国際政治学会の

海外発信強化助成を賜り、2017

年2月22-25日に開催された International Studies Association

(ISA)で研究報告を行った。報告

した研究は、同年度10月に開催

された同学会幕張大会の環境パ

ネルにおいて、博士論文の一部として報告した「水

銀に関する水俣条約における三位一体の実現」を、

英語論文として手直ししたものである。本論文は、

既存条約では実現に失敗してきた遵守確保のための

諸制度が、水銀条約において合意された政治的背景

を探るべく、交渉過程を精緻に分析したものである。

すなわち、環境ガバナンス研究において近年注目が

集まる「制度デザイン」の成立要因を特定するもの

である。同研究領域の先駆者が集まるISAでの報告

は、自己の研究が国際的にどのように評価されるか

を試す機会であった。

私の研究報告は学会最終日の朝一番のパネルであ

り、当日まで緊張しながら何度も練習して報告に臨

んだ。コメンテーターは環境ガバナンスの開拓者で

もあるオラン・ヤング先生、議長はマリア・イヴァ

ノヴァ先生であった。また、オーディエンスとして

ロナルド・ミッチェル先生が参加された。ご三方か

らは、新奇性があり面白い研究だと、思いもかけず

大きな賞賛をいただいた。何度もペーパーを練り直

し、プレゼンテーションの練習をした甲斐があった

と、メッセージが伝わったことを心から嬉しく思っ

た。これを機に、先生方と強いネットワークを築く

ことができた。イヴァノヴァ先生とは昼食をご一緒

し、今夏に予定しているUNEPへの聴き取り調査に

あたってキーとなる担当官を紹介して下さった。ま

たミッチェル先生は、ご自身が作成しておられる環

境条約データをぜひ提供したいと言って下さった。

自身の研究報告の場以外でも、多くのことを学ん

だ。もちろん、パネルを聴き最新の研究動向を知る

という側面もあるが、何よりも、最前線で活躍され

ている先生方のパネリストへのコメントこそが貴重

な学びの機会であった。優れた面白い研究とは何か、

いかなる問いをいかなる方法で明らかにすべきか、

リサーチデザインの真髄について多くの教訓を得る

ことができた。

総じて今回のISAへの渡航は、現在執筆中の博士

論文を国際基準に照らし合わせる貴重な機会であっ

て、今後、本英語論文を国際雑誌に投稿するととも

に、博士論文をさらに発展させるための大きな一歩

となったと確信している。最後になりましたが、若

手研究者としての成長を温かくサポートして下さっ

た日本国際政治学会の皆様に、心より感謝を申し上

げます。

ISA 2017(米国・ボルティモア)参加報告

佐桑健太郎(青山学院大学(2017年4月より))

日本国際政治学会より2016

年度海外発信強化助成(海外学

会等報告支援)をいただき、 2017年2月22日から25日ま

で米国メリーランド州ボルテ

ィモアのヒルトン・ボルティモ

アホテルで開催された

International Studies Association 58th Annual

Convention 2017に参加し論文発表を行った。まずは

何よりも、ご多忙の中審査に当たってくださった国

際交流委員会主任の都丸潤子・早稲田大学教授をは

じめ委員の先生方に厚くお礼を申し上げたい。

研究発表を行った場は年次大会のテーマ

understanding change in world politics” に沿うプレ

ジデンシャルパネルPresent and Future Conflictsであ

った。パネルには、気候変動が紛争に及ぼす影響や、

産業構造の変化と武力行使の関係についての研究、

一時沈静化した対立関係が復活するメカニズムを説

明する理論モデルなど、国際政治における未来の紛

争と平和の姿を問う意欲的な研究が出そろい、討論

者と発表者だけでなく聴衆も交えて活発で建設的な

議論がなされた。

発表した論文はExploring the Coevolution of

Territorial Peace and Regime Typeと題する単著論文で、

現在取り組んでいる民主主義による平和(デモクラ

ティック・ピース論)を領土紛争との関係から批判

的に再検討する研究の予備的な実証分析であった。

民主主義国どうしは戦争をしないというデモクラテ

ィック・ピース論は国際政治学の有力な学説である

が、他方、民主主義が平和を生み出すのではなく、

領土問題などの存在しない平和な環境が民主主義の

定着を促す、つまり因果関係が逆であるという説も

有力である。この論争を踏まえて、領土紛争の存在

と民主主義が相互にどの程度影響を与え合っている

かをネットワーク分析の手法を応用して実証分析し

た。欧州地域に限定した小規模データでの分析の結

果、デモクラティック・ピース仮説は支持されず、

逆に領土紛争の存在する緊張した近隣環境が民主主

義を不安定にし、権威主義体制を出現しやすくする

効果が観察された。

発表論文に対しては、研究課題の国際政治学上の

意義や仮説の導出、実証分析などが評価された一方

で、ネットワークモデルを用いた分析手法の有効性

(17)

サンプルを用いたとはいえ二国が国境を接している

か否かの情報はやはり明示的に分析に取り入れるべ

きである点など、改善すべきポイントも多く指摘さ

れた。

今回の報告での最大の成果は、広くアメリカ国内

外から集まったパネル参加者や聴衆に対して研究成

果を発信できたことである。パネル参加者には紛争

論の分野で国際的によく知られた研究者が多く、そ

の環境で研究を報告・議論できたことは意義があっ

た。また、本格的な実証研究へ移行するにあたり有

益なフィードバックも得られるなど非常に大きい成

果があったと言える。

文化遺産保全における国際的概念規範の脱構築:

「再建」とオーセンティシティー

岡橋純子(聖心女子大学)

2017年3月中旬、“ICOMOS University Forum Workshop on Authenticity and Reconstructions”

と 題 す る 三 日 間 の 研 究 会 合 で

発表をおこなった。参加者は英

語 も し く は 仏 語 で 事 前 に 提 出

し た 論 文 概 要 を も と に 選 考 を

経て招致された35名前後の専門家であり、約20か

国からパリに集結した。

イコモス(International Council on Monuments and

Sites)とは「記念物と遺産の保存に関する国際憲章」

をうけて1965年に設立された団体であり、ユネスコ

をはじめとする国際機関と連携しつつ、文化遺産の

保全に関する理論と方法論の研究と実践をおこない、

ユネスコで採択された世界遺産条約については、そ

の諮問機関として、世界文化遺産物件の保全状況モ

ニタリングや新規リスト登録候補物件の審査をおこ

なっている。会員構成は、参加各国の文化遺産保全

分野の第一線の専門家や専門的団体から成る。

近年の国際情勢の中、とりわけイラクやシリアで

の大規模な文化遺産破壊は、「再建」か否かという課

題を文化遺産の保全に関する国際的議論の前線に打

ち 出 し て き て い る 。 こ の た び の 会 合 の 主 題 も A contemporary provocation: reconstructions as tools of future-making というものであり、「再建」「オーセン

ティシティ」「未来設計・未来管理」という三つの概

念が議論の軸となった。政府関係者や実務者による

議論は別途おこなわれてきている中、今回の会合は

再建やオーセンティシティについての既存の概念規

範をいまいちど問い直すことを目的とする学術的な

対話の試みであった。

参加者は冒頭でペーパーの論旨を共有する機会は

与えられたが、発表自体が会合の主たる目的ではな

く、グループセッションでの討論を通じて各自が用

意した論考を深めつつも変容させることがはかられ

ていた。すでにテーマについて問題意識を明確にす

る参加者の集まりであったため、議論は活発で豊か

なものであった。文化遺産の「再建」(日本では復元

や復原とも呼ぶ)については、国際的には、これま

で規範とされてきた関連条約や憲章の内容をみると

極めて慎重な姿勢がとられてきている。それは、再

建された対象が文化遺産の保全倫理にかかわる「オ

ーセンティシティ」の基準を満たせるかどうかが一

概に明確とはならないからである。イコモスに多い

考古学者、建築家、都市計画家、歴史家、法律家だ

けでなく、今回のように会員外からも心理学者や哲

学をまじえて「再建・オーセンティシティ・未来」

について総合的に既存の固定概念を解体し多角的に

問い直す場は、珍しく新鮮な機会であった。再建の

意味とは建造物を建て直すことだけでなく、コミュ

ニティの生活環境の再生、社会的活力の復興や尊厳

の甦生をも含み、そのような状況を実現可能な建築

空間の再建であれば未来管理上認めてよい保全方法

といえるのではないか、という結論が示唆される議

論もあった。

会合自体は短いものではあったが、ここでの議論

をもとに参加者各自が課題を持ち帰って論旨を再考

し、完成した論文原稿の提出、査読プロセスを経て

成果物として出版することがこの先の課題となる。

British Association for Slavonic and East European Studies

松嵜英也(日本学術振興会)

著者は、海外発信強化助成を受け、2017年3月31

日から4月2日の間にケンブリッジ(英国)で開催

さ れ た 、British Association for Slavonic and East

European Studiesに参加した。同会議は、英国でスラ

ブ・ユーラシア地域を対象とする研究者が集まる会

議である。初日にロシアのブルブリス、ウクライナ

のクラフチュク、ベラルーシのシュシケヴィッチの

ラウンドテーブルがあり、「ベロヴェーシの森」の再

現を想起させた。サクワ氏が述べたように、これは

ソ連解体とCIS設立を宣言し、現代の旧ソ連国際関

係を基礎づけた会談である。ラウンドテーブルから

も同会議の認知度の高さを示していると考えられる。

(18)

会、政治、経済など様々な報告があり、経験的な実

証分析が多かった。だが、地域研究色の強い同会議

において、筆者はリサーチ・デザイン、特にデータ

や方法を明示的に示す有効性を改めて痛感した。政

治系のパネルでは、定性、定量、混合手法まで分析

方法は様々だったが、興味深い報告の多くがリサー

チの設計を綿密に行っていた。筆者は、方法やデー

タの明示化を英国滞在中に微調整した。その際、勁

草書房から刊行されている一連の方法論本を読んだ

経験は、分析方法を自覚し、いかに聴衆に対し、内

容の理解を促すのかを考える上で大いに役立った。

筆者は、The Domestic and International Politics of Russia and Ukraineのパネルで、“Building Crimean ASSR: Disappeance, Reconstruction, and the Subsumption into the New Border”と題した報告を行

った。2014年にロシア連邦はクリミア自治共和国を

実質的に併合した。ではそもそも、なぜクリミアに

自治が導入されたのか。報告では、ソ連末期に中央

アジアからクリミアへと帰還したクリミア・タター

ル人の運動に着目し、「クリミア・タタール人の帰還

運動はクリミアの自治共和国化にいかなる役割を果

たしたのか」という問いを立てた。データは現地の

新聞資料とアルヒーフ資料、インタビュー資料、方

法は過程追跡を用いて、帰還運動が自治導入に及ぼ

した影響を検討した。分析の結果、①クリミア・タ

タール人の帰還に関する積極的な権利回復を根拠に、

一度消滅した自治が「再建」されたが、クリミア・

タタール人運動はその根拠の下地を作った、②自治

の民族的な担い手に関して、帰還運動の要求は認め

られず、クリミアは「多民族な自治」として創設さ

れた。結論として、体制内エリートは自治「再建」

を掲げながら、かつての自治共和国を「多民族な自

治共和国」として再構成していったことを導き出し

た。報告後には、様々なコメントを頂き、過程追跡

を用いた実証分析は比較的好評だった感触を持った。

ただし、ソ連末期のクリミアの経験は現在のクリミ

ア政変にどのような影響があるのか、という具体的

に検討すべき宿題も頂いた。

最後に助成金を通じて貴重な経験を可能にして頂

いた日本国際政治学会に深く御礼申し上げたい。今

回の経験を生かして、今後も継続的に海外に発信し

たい。

日本国際政治学会「海外発信強化助成(海外学会報

告支援)」報告書

重松 尚(東京大学)

British Association for Slavonic and East European

Studies (BASEES) はスラヴ・東欧地域研究における

英国最大の学会であり、研究大会は年に1回開催さ

れている。今回、2017年3月31日〜4月2日の日程 でケンブリッジ大学フィッツウィリアム・カレッジ

で開かれた大会には、日本からも約10人の研究者が

参加した。

報告者は、3 月 31 日に行われたセッション 2.16

「Politics: Memory, Politics and Security in Lithuania」

に て 口 頭 発 表 「History and Memory of Provisional Government of Lithuania」を行った。このセッション

は フ ィ ッ ツ ウ ィ リ ア ム ・ カ レ ッ ジ 近 隣 の チ ャ ー チ

ル・カレッジで開かれた。リトアニアに関するセッ

ションのため、報告者以外はリトアニア人研究者で

あった(うち1名はノルウェーの大学に所属)。

今回は、1941年のリトアニア臨時政府が、近年の

リトアニアにおいてどのように記憶されているのか

について報告した。発表の冒頭で、近年出版された

日本語書籍のなかで指摘されている点をいくつか紹

介したところ、リトアニア人研究者からはリトアニ

ア人自身気づかなかった視点であるとの評価がなさ

れた。その後、2000年の国会決議案および2012年

のアンブラゼヴィチュス改葬式典を分析しつつ、リ

トアニアの歴史認識問題のあり方について議論を進

めたが、これについても多くの関心を集め、セッシ

ョン終了後も研究者の一人と夕食を取りながら自身

の発表について議論を交わす機会に恵まれた。

2017年はロシア革命 100 周年にあたるため、今

大会ではロシア革命に関する基調講演やセッション

が設けられた。2 日目のディナーでは表彰なども行

われたようであるが、ディナーは有料であったため、

発表者は経済的理由から参加することができなかっ

た。

非常に多くの研究者がこの大会に参加しており、

リトアニア研究に関する発表も多くあった。また、

近隣地域をはじめバルカン半島から中央アジアまで

の広い地域に関する研究報告を聞くことができた。

他の地域研究に触れることで、リトアニアとの比較

から新たに気付かされた点もいくつかあった。それ

は今大会に参加して得ることができた貴重な点であ

ったように思う。

学会終了後、学会参加者の一人から学術雑誌への

投稿の依頼をいただく機会にも恵まれた。

国際学術交流報告書

ISA Asia-Pacific Conference 2016, Hong Kong

ISA(International Studies Association)

アジア太平洋学会論文発表レポート

謝 志海(共愛学園前橋国際大学)

日本国際政治学会の国際学術交流助成を受けて、

参照

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